神経内分泌腫瘍集学的治療ユニットの新規創設について

神経内分泌腫瘍(NEN: neuroendocrine neoplasm)はカルチノイド、NETといった名称で呼ばれていた疾患を含む概念です。多くは消化管や膵臓に発生しがんに似た振る舞いを示しますが、成長がゆっくりであるケースが多いため良性と悪性の中間の性質を持つ特殊な腫瘍ととらえるとわかりやすいと思います。

神経内分泌腫瘍は肝転移をきたすことが多く、大腸癌と同様、切除による予後改善効果が知られているため、肝転移に対して積極的な手術治療が行われます。通常、がんにおける手術ではすべての腫瘍を完全切除できる見込みがなければ切除適応とはなりませんが、神経内分泌腫瘍の場合は完全切除ができなくとも腫瘍の大半を切除することによって予後の延長が見込めるとされ(組織学的な悪性度が高い症例を除く)、腫瘍量を減らすための「減量手術」が行われることがあります。しかし、そうした症例の多くは高度の手術手技が要求され、同時に適切な薬物治療の提供体制も求められます。

当科は大腸癌肝転移とならび神経内分泌腫瘍の治療経験が豊富であり、原発巣である膵臓、転移巣である肝臓ともに低侵襲治療が可能な体制を整備しております。オクトレオスキャンをはじめとする画像検査が迅速に施行可能であることや、手術治療、薬物治療を含む集学的治療の十分な提供体制を背景に、この度神経内分泌腫瘍の治療に特化した治療ユニットを開設し、同疾患でお悩みの方を広く受け入れます。診療は肝胆膵外科単独ではなく関連各科の医師がチームで担当します。初診は進藤部長または大久保医長の外来を受診下さい。